建築物省エネ法の改正案、閣議決定 適合義務が延床面積300平米以上に拡大

福島県に開発拠点を置けば補助金 1事業計画あたり最大7億円

東京都内のオフィスビルがNearly ZEB取得 消費エネルギーを75%削減

東急コミュニティー(東京都世田谷区)は2月8日、東京都目黒区上目黒に建設中の「東急コミュニティー技術研修センター(仮称)」が、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「Nearly ZEB」認証を取得したと発表した。同センターの開業予定は2019年5月。

一般的に、屋上に太陽光発電システムを設置できる、郊外型の低層建築がZEB化しやすいとされる。そうしたなか、同センターは高度な省エネルギー技術を導入することにより、エネルギー削減量75%の「Nearly ZEB」取得を実現した。これは、東京都内の事務所ビルとしては初という。

同社は、この研修施設を省エネルギー実証実験の場とし、更なる管理ノウハウを蓄積していきたい考えだ。同施設に導入された、主な3つの技術は下記の通り。

建築上・設備上の省エネでNearly ZEBを実現

3つの技術

(画像クリックで拡大)

1. 建築上の省エネルギー機能

  • 特殊ガラスと建物外周部の外断熱による外部熱負荷の削減
  • 開口形状(窓の多用など)による自然換気の促進
  • 吹き抜け
  • トップライト(天窓)を用いた積極的な昼光利用

2. 設備上の省エネルギー技術(空調)

  • 年間を通じて温度が安定している地下水を送水することによる地中熱利用
  • 天井面と壁面の輻射パネルによる躯体利用輻射冷暖房システム
  • エリアごとの室内環境情報や運転実績から最適な空調運転モード
  • 運転開始時刻を判断する躯体蓄熱ナビゲーション

3. 設備上の省エネルギー技術(電気・照明)

  • 屋上の太陽光パネルによるエネルギー生成(創エネルギー技術)
  • 全館LED照明による照明エネルギー削減と昼光連動制御による消費エネルギーの無駄の排除
  • BEMS運用によるエネルギー使用状況の見える化、省エネ実績の蓄積・検証による省エネルギーの更なる効率化

自社施設を省エネルギー実証実験の場に

同社は総合不動産管理会社のリーディングカンパニーとして、豊富な経験と実績を元に、顧客の建物の資産価値向上に向けた提案を行ってきた。今回のNearly ZEB取得に関連する省エネルギー推進の取り組みによって、既存ビルのみならず、先進的な建築物への理解を深め、更なる価値向上に向けた知識・経験を蓄積し、顧客に提供していく構えだ。


ZEBは、建築・設備上の省エネルギー技術によってエネルギー消費を極力小さくする一方、太陽光発電などによってエネルギーを自給し(創エネ)、トータルのエネルギー消費量の削減を目指す建物のこと。削減するエネルギー消費量の割合によって、ZEB ready(50%以上)、Nearly ZEB(75%以上)、ZEB(100%以上)の3段階に分類されている。

また、BELSは、2013年10月に「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」が国土交通省において制定されたことを受け、当該ガイドラインに基づき第三者機関が非住宅建築物の省エネルギー性能の評価や表示を適確に実施することを目的に開始された制度。

             
記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2019年2月15日 出典

建築物省エネ法の改正案、閣議決定 適合義務が延床面積300平米以上に拡大

福島県に開発拠点を置けば補助金 1事業計画あたり最大7億円