
SBTマーク
大成建設(東京都新宿区)は2月1日、同社の温室効果ガス排出の2030年削減目標が、国際的イニシアチブによりSBT(企業版2℃目標)に認定されたと発表した。
同社は、ESG(環境・社会・企業統治)経営の観点から、持続可能な環境配慮型社会の実現に向けた2050年目標「TAISEI Green Target 2050」を策定している。そのベンチマークである2030年の削減目標が、今回「SBT」認定の対象となった。
大成建設の2050年目標(画像クリックで拡大)
同社の「TAISEI Green Target 2050」は、世界でも関心の高いパリ協定の発効やSDGsの採択等の最新動向を踏まえて、2018年に見直した大成建設の環境方針に基づく長期目標として策定された。
これにより、2050年までに温室効果ガスであるCO2排出量の削減80%を目指し、2030年度には施工段階のCO2排出量62%(SBTの指標による表記:温室効果ガス排出量、2013年度比で26%)、運用段階予測CO2排出量55%(同:販売した製品の仕様による温室効果ガス排出量を2013年度比で25%)削減することを目標としている。
各スコープごとの削減目標
大成建設は、上記の目標について、スコープごとの定義と目標値を次のように定めている。
- スコープ1:建設作業所における重機・車両等の燃料使用に伴う直接排出
- スコープ2:建設作業所における電力使用に伴う間接排出
- スコープ3:引き渡した建物の運用段階におけるエネルギー使用に伴う間接排出温室効果ガス
目標はスコープ1+スコープ2の温室効果ガス排出量を2030年までに2013年度比で26%削減、全ての温室効果ガス排出量を2030年までに2013年度比で25%削減とする。
これらのSBT達成に向け、今後、同社は、全作業所で展開する会議におけるペーパーレス化や、仮設照明のLED化、ハイブリッド型重機の使用や再生可能エネルギーの利用といったさまざまな環境負荷低減活動「TAISEI Sustainable Action」を実施する。それにより、施工段階のエネルギー使用の効率化や再生可能エネルギーの利用などによる温室効果ガスであるCO2削減を進めていく。
また、顧客に提供する技術・サービスにおいても、建物の大幅な省エネに貢献する「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の普及を通じて削減に取り組んでいく計画だ。
SBTとは、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、企業による科学的根拠に基づいて設定された削減目標を推進することを目的に、CDP(気候変動対策に関する情報開示を推進する機関投資家の連合体)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)、UNGC(国際グローバルコンパクト)の4団体が設立したイニシアチブが認定する削減目標のこと。
また、スコープ1とは事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)を、スコープ2とは他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出を指す。そしてスコープ3とは事業者の活動に関連する他社の排出を指す。