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どれを使う?2019年度のZEH・ZEB補助金 執行団体の公募スタート

環境省と経済産業省は1月25日、住宅・建築物におけるネット・ゼロ・エネルギー化を目指すため、2019年度に予定している、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル(ZEHZEB)にかかわる3つの補助事業を執行する団体の公募を開始した。

なお、これらの補助事業では、ZEHの普及促進、ZEH+の実証等、ZEBの実証をするため、その事業を実施する者を支援するとともに、次世代省エネ建材や高性能建材を用いた住宅の断熱リフォームを実施する者を支援する。

ZEH/ZEBの補助事業・支援、2019年度も多い

今回、以下の3事業を実施する執行団体を公募する。内容はいずれも予定されているもの。詳細は公募説明書等を確認のこと。

1:「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業)」(経済産業省事業)

事業予定額は約48.0億円。補助事業としては「ZEB実証事業」、「ZEH支援事業」、「次世代省エネ建材支援事業」の3つが予定されている。ZEB実証事業では、ZEBの設計ノウハウが確立されていない民間の大規模建築物(新築:1万m2以上、既築:2000m2以上)について、先進的な技術等の組み合わせによるZEB化を通じて、その運用実績の蓄積・公開・活用を図る実証事業を補助対象としている。採択件数は約12件程度、一事業あたりの補助率は2/3以内。

ZEH支援事業では、高性能建材・設備機器と制御機構等を組み合わせ、ZEH+・超高層のZEH-Mを実現する事業に補助金を交付する。採択件数は約2,000件程度、一事業あたりの補助率定額は2/3以内(事業内容により異なる)。

次世代省エネ建材支援事業では、住宅の所有者等に対して、工期短縮可能な高性能断熱建材や蓄熱、調湿等の付加価値を有する省エネ建材を用いた住宅の断熱リフォーム事業に補助金を交付する。採択件数は約300件程度、一事業あたりの補助率は1/2以内。

2:「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを活用したレジリエンス強化事業」(経済産業省事業)

事業予定額は約20.0億円。この事業では、建築主(所有者)などに対して、「ZEH+」を活用して、「レジリエンス(復元力)強化」のための非常用室内コンセントの設置や、蓄電池・太陽熱給湯設備導入による太陽光エネルギーの夜間有効活用などの措置を講じた住宅を建築等する事業に補助金を交付する。採択件数は約1,150件程度で、一事業あたりの補助率は定額。

3:「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業)」(環境省事業)

事業予定額は88.7億円(別途公募を行っている事業もあり)。予定している補助事業は2つ。このうち「ZEH化による住宅における低炭素化促進事業」は、建築主(所有者)などに対して、高性能建材・設備機器と制御機構等を組み合わせ、ZEHを実現する事業などに補助金を交付する。採択件数は約8,000件程度で、一事業あたりの補助率は定額、2/3以内(事業内容により異なる)。

もう一つの「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」では、住宅の所有者等に対して、一定の省エネ効果(15%以上)が見込まれる、高性能建材を用いた住宅の断熱リフォーム事業などに補助金を交付する。採択件数は約6,000件程度で、一事業あたりの補助率は1/3以内等(事業により異なる)。


なお、執行団体の決定や予算の執行は、2019年度予算の成立が前提であり、今後、内容などが変更になることもある。

民生部門での抜本的省エネ対策は喫緊の課題

現在、日本のエネルギー消費量の約3割を占める民生部門(家庭、業務)のエネルギー消費は、産業部門と比較して高い伸びを示しており、民生部門における抜本的な省エネルギー対策と低炭素化の推進が喫緊の課題となっている。

そこで、国は内外の経済的社会的環境に応じた安定的・適切なエネルギーの需給構造の構築と、家庭内の大幅な低炭素化の実現を図ることなどを目的にZEH/ZEB補助事業を実施している。なお、ZEH/ZEBは、年間の1次エネルギー消費量がネットでゼロとなる住宅/建築物をいう。

また、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(集合住宅(低層・中層)における低炭素化(ZEH-M化)促進事業)」「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(業務用施設等におけるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化・省CO2 促進事業)については、環境省において、別途執行団体の募集を行っている。

              
記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2019年1月28日 出典

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