経済産業省は、1月24日の第3回総合資源エネルギー調査会 工場等判断基準ワーキンググループ(WG)で、省エネ法のベンチマーク制度の対象業種の拡大と、工場等判断基準の改正にかかわる事項など、2018年度に審議した内容をとりまとめた意見(案)を示した。
すでに業務部門におけるベンチマーク制度の対象業種の拡大については、同WGで審議を行い、2016年4月よりコンビニエンスストア業、2017年4月よりホテル業、百貨店業、2018年4月より食料品スーパー業、ショッピングセンター業、貸事務所業を対象に制度が開始されている。2018年度は、大学、パチンコホール業、国家公務について、ベンチマーク制度導入にかかわる審議を行った。
同WGの配布資料として公開された意見(案)の概要は以下の通り。
大学におけるベンチマーク制度
対象事業
日本標準産業分類における大学のうち、文系学部、理系学部、医系学部、その他学部に属する施設のエネルギー使用量の合計が1500kl以上の事業を対象とすることが適当である。
なお、大学のキャンパス内に設置されている多様な施設を共通の指標で評価するために、ベンチマーク指標の対象範囲を、大学が一般的に共通に有している「学部・大学院の施設及び設備」と限定する。
ベンチマーク指標
エネルギー使用量と強い相関のもつ「延床面積」によるベンチマーク指標を検討した。その結果、学部系統の違いを考慮した検討を行い、以下の式で計算される指標をベンチマーク指標とすべきであるとの見解に至った。
目指すべき水準
重回帰式の検討に用いたサンプルデータにおいて上位15%が達成できる水準である0.555以下に設定することが適当である(第2回WG案)。
なお、評価対象外の範囲も含めた大学全体の省エネを促すよう、制度発信のときに留意するとの意見も添えられている。
パチンコホール業におけるベンチマーク制度
対象事業
日本標準産業分類におけるパチンコホールのうちパチンコ店とパチスロ店のエネルギー使用量の合計が1500kl以上の事業を対象とすることが適当である(第2回WG案)。
ベンチマーク指標
パチンコホール業におけるベンチマーク指標は、エネルギー使用量の密接に関係を持つ「規模要因」、「設備要因」、「稼働要因」の各要素を考慮した以下の式で計算される指標をベンチマーク指標とすべきである。
目指すべき水準
重回帰式の検討に用いたサンプルデータにおいて上位15%が達成できる水準である0.695以下に設定することが適当である(第2回WG案)。
国家公務におけるベンチマーク制度
国家公務のベンチマーク制定(案)の検討結果が別資料で紹介されている。概要は下図の通り。
工場等判断基準等の改正、定期報告様式に変更
「工場等判断基準」とは、エネルギーを使用し事業を行う事業者が、エネルギーの使用の合理化を適切かつ有効に実施するために必要な判断の基準となるべき事項を、経済産業大臣が定め、告示として公表したものだ。
これは「I エネルギーの使用の合理化の基準(基準部分)」と「II エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置(目標部分) 」で構成されている。
基準部分の見直しに関する告示改正(2018年4月施行)では、事業者の省エネ投資を促進するため、経営層の役割を明確化するなど、事業者として遵守すべき事項が追加された。
さらに定期報告様式を改正案として、この改正部分を反映するとともに、判断基準の遵守状況をより詳細に把握するため、選択肢を追加する方針が示されている。
また、工場等判断基準において、法改正にて措置された認定管理統括事業者と管理関係事業者の適用範囲を明確にするため、工場等判断基準の改正を行う考えだ。
なお、認定管理統括事業者制度は、一体的に省エネの取り組みを行っている企業グループの親会社等が、グループの一体的な省エネの取り組みを統括管理する者として認定を受けた場合、この親会社等による定期報告等の義務の一体的な履行などを認めるもの。