
「StorageHub」事業化時の想定スキーム(出所:リコー)
リコー(東京都大田区)は6月13日、日本ガイシ(愛知県名古屋市)、大和エナジー・インフラ(東京都千代田区)とともに、シェアリング機能付きハイブリッド蓄電所「StorageHub」の開発を開始すると発表した。
日本ガイシとリコーの合弁会社NR-Power Lab(愛知県名古屋市)が開発を手がけ、建設から運営、サービスまでをワンストップで提供するビジネスモデルの実現を目指す。
蓄電所から小需要家まで、さまざまなニーズに対応可能
StorageHubは、「需要家自らが設計、移設できる」をコンセプトとした蓄電所で、初期投資の負担を軽減するとともに、電力市場の制度変更による投資回収への影響、長納期化による機会損失などのリスクを最小化するのが特徴だ。
また、大容量・長寿命という特性を持つNAS電池と、高出力な上、システムサイズの可変性が高いリチウムイオン電池のハイブリッド蓄電池システムとすることで、蓄電所から小規模の需要家への設置まで、幅広いニーズに対応する。

(出所:リコー)
7月には、VPP実証を開始予定
今後の展開としては、2024年7月に、静岡県御殿場市にあるリコー環境事業開発センターにNAS電池を設置し、実機でのVPP実証を開始する予定だ。人工知能(AI)と分散型IDを活用し、信頼性とコスト低減を両立する独自のVPPシステムを開発する。
このほか、岩手県内でも実証の準備を進めている。こちらの実証では、太陽光発電所(800kW)に併設する実証機を併設し、StorageHubを、NAS電池とサイズの異なるリチウムイオン電池で構成して、両電池を最適に協調制御するハイブリッド制御システムの構築を図る。実証は2025年1月開始の予定。
将来的には、再エネの出力抑制の回避などのニーズに対し、蓄電機能のみを提供するアセットフリー型サービスの提供開始を目指す考えで、リコージャパンの顧客向けにサービスを提供するとともに、地域新電力各社との連携を強化していく。