
ケミカルリサイクルのフロー図(出所:三井化学)
三井化学(東京都中央区)は3月22日、CFP(広島県福山市)より調達した廃プラスチックを原料とした熱分解油(廃プラ分解油)を、3月に同社大阪工場(大阪府高石市)のクラッカーへ投入し、マスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・販売を開始したと発表した。
同社は、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、廃棄されたプラスチックを資源と捉え再利用する「RePLAYER®」というコンセプトを推進しており、今回の取り組みはこのコンセプトによる事業だ。
廃プラ分解油は石油由来ナフサやバイオマスナフサと同様、炭化水素油であり、それらをクラッカーに投入することで、エチレン、プロピレン、C4・C5 留分、ベンゼンといった基礎原料を製造する。得られた基礎原料を基にフェノールなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックを製造するため、誘導品(化学品・プラスチック)の物性は既存品(バージン品)と同等となる。
日本初のバイオ&サーキュラークラッカーを実現
同社はこの取り組みおよび2021年12 月にクラッカーへ投入開始したバイオマスナフサ活用の両輪で、日本初のバイオ&サーキュラークラッカーを実現し、サステナブル(持続可能性)を超えたリジェネラティブ (再生的)社会の実現に貢献する。

バイオ&サーキュラークラッカーの概念図(出所:三井化学)
さらに今後、同社グループは認証制度として欧州で広く採用されているISCC PLUS 認証に基づき、マスバランス方式によるケミカルリサイクル製品を市場展開していく。
なおISCC PLUS認証は、バイオマスなどの持続可能な原材料を用いた製品のサプライチェーンを管理・担保する国際的な制度で、マスバランス方式の採用が認められている。
花王と連携し、循環型スキームに向け検討も開始
また、同社は同日、花王(東京都中央区)が関与した廃プラスチックを原料とし、CFPおよびプライムポリマー(同)の協力の下、リサイクルプラスチックとして製造し花王製品に使用するケミカルリサイクルによる循環型スキームの実装に向け、共同検討を開始すると発表した。

花王とのケミカルリサイクルによる循環型スキームのイメージ図(出所:三井化学)