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ブルー・スターR&D、水と強力超音波でバイオ燃料を製造

画像はイメージです

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ブルー・スターR&D(神奈川県相模原市)は3月18日、日本の杉、アメリカのトウモロコシ、沖縄・ブラジルの「バガス」(サトウキビの搾りかす)から、水と超音波だけでバイオ燃料を製造する技術の開発に成功したと発表した。

この技術では、硫酸や酵素を使用せず、超音波の破壊的な衝撃で、リグニンを破砕分離し、バイオマスからセルロースを取り出す。リグニンなどの妨害物質からセルロースを取り出せれば、セルラーゼ(セルロースを分解する酵素)で、セルロースを容易にグルコース(ブドウ糖)に変換でき、グルコースは、エタノール酵母でエタノールに変換できる。

現在、杉からセルロースを取り出すには、硫酸や特殊な酵素を用いており、特別な技術を必要とする。同社が開発した技術は、超音波であるため、だれでも容易に稼働できるシステムになるという。

このバイオエタノール製造技術は、世界の三大バイオマスである、杉(針葉樹)、サトウキビの搾りかすのバガス、トウモロコシからセルロースを取り出し、グルコース~エタノールの低コスト、安定的に製造する技術として期待される。

また、同社は、この技術を用いて、セルロースだけではなく、世界の研究者が開発を続けている新素材、ナノセルロース・ナノセルロースファイバーの全面的生成も確認している。

バイオマスからセルロースを取り出す手法

杉、トウモロコシの茎、バガスを、機械的に1mm程度に粉砕し、水に浸漬させ、ここに、強力な超音波を照射する。超音波で、水中に直径10mmの真空の球を無数に発生(キャビティ)させる。この真空のエネルギーボールは、1秒間に2万回、生成と消滅を繰り返す。この時、水中に正負の激しい衝撃波が発生し、バイオマスを粉砕、ヘドロ状に変化させる。この反応は、円筒の筒の中で行われ、バイオマスは、その円筒の筒の中を流れながら、より微細化していき、ナノ領域のセルロースを誕生させる。

杉 処理前20倍(左)、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

杉 処理前20倍(左)、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

バガス 処理前20倍、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

バガス 処理前20倍、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

トウモロコシ 処理前20倍(左)、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

トウモロコシ 処理前20倍(左)、処理後40,000倍(右)(出所:ブルー・スターR&D)

超音波エタノール製造の発展へ提携先企業・CV求む

ブルー・スターR&Dは、より強力な超音波の開発中に、様々なバイオマスから、超音波でセルロースを生成できることを発見し、超音波バイオエタノール製造技術の特許出願を行った。

日本の豊かな森林を守り、世界の環境問題、食糧問題に貢献できる技術として、発展・普及させるために、ベンチャーキャピタル(VC)・提携先企業を求めている。

同社は、ナノセルロース、ナノセルロースファイバーの方面について、まだ研究は進めていない。同社は、この超音波エタノール製造技術の実用化実証プラントを準備していきたいと考えている。

この技術により、危険な酸も、高価で利用が難しい酵素も使わず、有機高分子を微細化できることになる。同社は、この技術を応用してスキンケア事業にも進出する計画だ。

強力超音波バリ取り洗浄機で多くの納入実績

ブルー・スターR&Dは、強力な超音波による水の中のキャビティ(微小真空核群)の衝撃力を応用した技術をプラットホームに、様々な分野に進出している。主力商品は、金属やプラスチックのパーツを扱う製造過程で、加工する際に生じたバリ(素材の出っ張り)を取り除く、超音波バリ取り洗浄機だ。トヨタ自動車(愛知県豊田市)をはじめ、日本の自動車メーカーを含む製造業、また、世界14か国に納入実績を持つ。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2024年3月25日 出典

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