
(出所:DIC)
DIC(東京都中央区)は12月22日、世界初となる藻類油タイプの硫黄系極圧添加剤を開発した。同開発品は、CO2排出量を削減しながら、従来製品より高い性能を実現した。
極圧添加剤は、機械部品の磨耗を防止し、耐久性を向上するために使用される潤滑油添加剤。同社は、硫黄系極圧添加剤「DAILUBE」の新製品として藻類油タイプの「KS-519」を開発した。

(藻類油タイプの硫黄系極圧添加剤(出所:DIC)
CO2排出量、耕作面積、水の使用量を削減
KS-519は、同社のサステナブル製品である「GS-240」(植物油タイプ)と比べて、CO2排出量を5%削減。また、1トン当たりの収穫量に対する耕作地の使用面積を85%削減(対菜種油)、水の使用量を87%削減(対パーム油)できるという。
また、従来品よりも、優れた潤滑性能を持ち、酸化安定性が高く、流動点が低い(-15℃)という特長がある。
同社は今後、藻類油タイプの製品ラインアップを拡充し、日本や米国、欧州地域における自動車(特にEV)や金属加工用潤滑油、ギアオイルなどのメーカーを視野に拡販を進めるかまえだ。2030年には売上高80億円を目指すとしている。
これまで硫黄系極圧添加剤は、植物油と動物油(ラード)を主原料として製造されきた。しかし近年では、、ラードの生産数量が年々低下傾向にあることや環境上および宗教上の理由から世界各国での使用が難しくなっている。特に海外の顧客からは、新しい材料へのシフトが望まれているという。