
(出所:NEC)
NEC(東京都港区)は9月12日、複数企業の荷物を同一トラックで運ぶ「共同輸配送」の取り組みを効率化・容易化する目的で、共同利用型の「共同輸配送プラットフォーム」の運用実証を行うと発表した。期間は9月から2024年3月まで。
実証には花王(同・中央区)、日通NECロジスティクス(神奈川県川崎市)、三井倉庫サプライチェーンソリューション(東京都港区)、横河電機(同・武蔵野市)などの各社が参加。各社の物流データを、NECが開発中の同プラットフォーム上で共有する。
AIを活用した共同輸配送のグループ候補の自動抽出や、条件調整、最適化による運行計画の自動作成などを行い、デジタル技術の活用と輸送オペレーションの両面から運用上の課題点の抽出や検証を行う。
「共同輸配送プラットフォーム」の概要
実証の具体的な内容は下記の通り。
- ・各社の物流データをプラットフォーム上で共有、段階に応じて情報を開示
- ・共同輸配送を実施するグループ候補の自動抽出
- ・共同輸配送の運行計画の自動作成
- ・運行計画の条件調整および代替案の提示
- ・企業間での荷量見込の共有および共同輸配送の利用推奨
- ・共同輸配送を行う上での運用上の課題点の抽出および検証、実行効果の確認
- ・将来的なマルチモーダル輸送、中継輸送の可能性検討
NECと実証に参加する各社は、業種・業界を越えた共同輸配送の取り組みを拡大し、輸配送網の維持・改善やカーボンニュートラルへの対応を推進することで、サステナブルなサプライチェーンの構築を目指す。
NECは、今回の実証を踏まえ、「共同輸配送プラットフォーム」の2024年度の実用化を目指すとともに、今後も先進のデジタル技術を活用して物流業界の様々な課題解決を図る考えだ。また、オープンなプラットフォームの実現を目指し、実証参加企業については継続して募集し、他のサービスやプラットフォームとの連携も積極的に模索していく構えだ。
ドライバー不足の深刻化と輸配送効率化の課題
ロジスティクス領域では、2024年4月からの働き方改革関連法の適用にともない、トラックドライバー不足がさらに深刻度を増す「2024年問題」により、輸送リソースの減少が懸念されている。同時に、温室効果ガス(GHG)排出量の削減も求められている。
一方で、輸配送の小口化・多頻度化によりトラックの積載率は約40%にとどまっており、輸配送の効率化が課題となっている。
こうした課題を受け、企業間での共同輸配送の取り組みが一部で始まっているが、条件に合致する企業の探索や条件の調整、オペレーションの煩雑さなどが課題となっており、大規模な取り組みにまでは至っていないという現状がある。