
東芝が考えるZEB実現のための段階的アプローチ
東芝インフラシステムズ(神奈川県川崎市)は、「ZEBプランナー」として、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の導入計画がある事業者に対して、プランニング支援を開始する。
同社はZEB実現のための段階的アプローチとして、「建築上の工夫」「設備機器の高効率化」「エネルギーマネジメント」「再生可能エネルギー」など建設時の4段階のステップに加え、開所後の施設の運用において「継続的な省エネ推進」を行う5段階目を設定した。このうち、「建築上の工夫」以外の4つの段階において、支援を行っていく。
具体的には、BEMS(ビル・エネルギー管理システム)と空調・照明などのファシリティ(設備機器)を連携。
さらに、画像情報より人物の在・不在やおおよその人数・活動量などを検知可能な、同社独自の多機能人感センサ「SMART EYE SENSOR MULTI™(スマートアイセンサーマルチ)」などIoTを駆使して、過去データとの比較、現状の快適性や省エネの把握、将来の建物使用状況の変化への対応など、柔軟に日々の運用を見直し、継続的な改善努力を行っていく。
同社によるこの取り組みの実績として、ラゾーナ川崎東芝ビル(神奈川県川崎市)がある。同ビルでは、「スマートBEMS」(従来BEMSのビル管理・制御機能を進化させ、快適性・省エネ・信頼性・効率性などのさらなる向上を図るシステム)によりファシリティを統合制御することで、快適性と省エネの両立を図るとともに、建物構造上の工夫を含めてビル全体で省エネ率50%(ZEB Ready相当)を達成した。
「次世代省エネ型オフィスモデルの構築と運用」のテーマで、2016年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞している。
ZEB・ZEBプランナーとは
同社は、2017年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業の一環として、環境共創イニシアチブ(SII/東京都中央区)が公募する「ZEBプランナー」に申請し、1月26日に登録(登録種別:コンサルティング)された。
今回、ZEBプランナーに登録されたことを契機として、BEMS機能のクラウド化やIoTおよび高効率なファシリティを統合制御することにより、ZEBプランニングの支援を開始した。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、高断熱化や高効率設備の導入などにより、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味(ネット)ゼロとすることを目指した建築物をいう。
また、ZEBプランナーとは、2017年度に新たに設置された制度で、「ZEB設計ガイドライン」や自社が有する「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」などを活用して、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計、コンサルティングなど)を行い、その活動を公表する事業者をいう。
ZEB実証事業では、既存・新築・増築・改築の建築物に対し、ZEBの構成要素となる高性能建材や高性能設備機器等を導入する事業に対して補助金を交付している。
同事業の公募では、一部事業でZEBプランナーとの連携が必須になっている。また、政府はZEBプランナーの情報を基に、ZEBの普及に向けたさらなる施策を検討する予定だ。