
計画認定で目指すアウトカム(出所:東京電力ホールディングス)
東京電力ホールディングス(東京都千代田区)と早稲田大学は10月4日、両者による低圧リソースによるデマンドレスポンス(DR)の取り組みが、経済産業省が新設した計画認定制度「特定新需要開拓事業活動計画」の認定を取得したと発表した。
同制度は、企業と大学などが共同で実施する研究開発について、標準化と知的財産を一体的に活用する戦略(オープン&クローズ戦略)の策定と活用促進を目的としている。認定者は認定特定新需要開拓事業活動に関して、工業所有権情報・研修館(INPIT)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助言が受けられる。
海外DR市場への展開も視野に、検証を推進
今回の認定を受け、東電HDと早稲田大は今回、一般家庭などにおける低圧リソース(太陽光発電、蓄電池、電気自動車、エアコン、ヒートポンプ給湯機など)の安定電源化・調整力化を目的に、オープン&クローズ戦略を策定した上で、各種検証を進める。
設備量が圧倒的に多い低圧リソースをDR機器として活用することで、再エネ利用の最大化が図れるが、実現には各機器を制御するための標準規格が必要となる。
そこで、両者は、製品規格やネットワーク参加者のための制御規格などを標準化し、低圧リソースDR市場の構築を進めていく。
また、海外市場への展開を視野に、国際規格制定に早い段階から基礎開発に携わることで、将来の標準化につなげる。
このほか、早稲田大学は、国際標準化博士専門人材の輩出に向けて、国際標準化に関するセミナーや講義を設置する予定だ。
両者は2022年12月、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた包括連携に関する基本協定」を締結。研究・教育や人材交流の強化に向けて、多面的な共同研究を進めている。
早大は三菱電機との取り組みでも同認定を取得
なお、早稲田大は、三菱電機(東京都千代田区)と実施している、EVや蓄電池・給湯器を利用した分散型エネルギー運用の取り組みでも、同認定を取得した。
同事業は、再エネやEV・蓄電池・給湯器などを効率的に利用し分散型エネルギーを運用するとともに、快適性や健康を実現するウェルビーイングを両立させる電力制御技術と室内環境制御に関する研究開発。
今回の計画認定の枠組みの下、オープン&クローズ戦略を策定し、電力事業者と需要家の双方に有益なシステム・機器の提案を実施する。

計画認定における活動内容と目指す成果(出所:三菱電機)
なお、同認定はこれまでに9件を認定している。取り組みの詳細は経産省ウェブサイトで確認できる。
【参考】
- 早稲田大学―早稲田大学と東京電力ホールディングス株式会社 カーボンニュートラル社会実現に向けたDR市場構築を推進
- 早稲田大学―学校法人早稲田大学と三菱電機株式会社 経済産業省「特定新需要開拓事業活動計画」の認定を取得
- 経済産業省―特定新需要開拓事業活動計画認定制度