東北大ら、全固体電池電解質を保護するコート層の設計指針確立 実用化へ前進

東大がケミカルリサイクル技術で新発見 プラ開発の省エネ・低コスト化に期待

マグネシウム合金の水平リサイクル技術を開発、マクルウ・産総研が共同研究

固相リサイクル法により作製した再生材の外観(出所:産業技術総合研究所)

固相リサイクル法により作製した再生材の外観(出所:産業技術総合研究所)

マグネシウム加工ベンチャーのマクルウ(静岡県富士宮市)は7月16日、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究により、押出し加工を利用したマグネシウム合金スクラップ材のリサイクル技術を開発した。マグネシウム合金スクラップ材の水平リサイクルの実現をめざす。

同技術は、マグネシウム合金スクラップ材を直接押出し加工して固化・再生する「固相リサイクル法」を活用したリサイクル技術。リサイクル工場に回収され再生されるものと異なり、低エネルギーでリサイクルが可能だという。

固相リサイクル法概念図(出所:産業技術総合研究所)

固相リサイクル法概念図(出所:産業技術総合研究所)

さらに、リサイクル品の品質が劣化しないことが特長で、今回の共同研究において、再生前の素材とほぼ同じ機械的特性および耐食性を示すことを確認した。なお、同社がプロセス技術の開発を担当し、産総研は再生材の機械的特性、耐食性、微視的組織の評価を担当した。

パイプ材の塩水浸漬試験結果(出所:産業技術総合研究所)

パイプ材の塩水浸漬試験結果(出所:産業技術総合研究所)

同社は、今後、本技術を活用したリサイクル材の加工を通じて、マグネシウム合金再生材の構造材としての利用に加えて、機能材への採用を目標とした事業展開を進める予定だという。また、リサイクル工程の効率化による規模拡大を目指していく計画だ。

「固相リサイクル法」とは

「固相リサイクル法」は、再溶解を伴わないリサイクル技術。もともとは、マグネシウム合金の切削屑の処理方法として提案された手法で、押出し加工中の塑性加工により、スクラップ材表面の酸化物を破壊し固化・接合する。

マグネシウムスクラップ材を直接押出し加工して固化・再生するため、従来のリサイクル工程と比較すると低い環境負荷でリサイクルすることが可能だ。ただし、出所が分からないスクラップ材を対象とすると品質を制御できないため、スクラップ材の品質を均一にする必要がある。今回は、マクルウ内で発生した組成・形状が比較的均一化されたパイプ材を採用した。

マクルウが導入した押出し加工設備(出所:産業技術総合研究所)

マクルウが導入した押出し加工設備(出所:産業技術総合研究所)

介護用品で需要が高まるマグネシウム

マグネシウム合金製福祉介護機器の例(出所:産業技術総合研究所)

マグネシウム合金製福祉介護機器の例(出所:産業技術総合研究所)

マグネシウムは、実用金属中で最軽量金属のひとつであり、杖や車いすフレームなど、軽量化が必要な介護用品でマグネシウムパイプの加工需要が高まっている。これに伴い、マグネシウムパイプ端材など処理コストが高いスクラップ材も増加しており、現在の再溶解法によるリサイクルでは、新地金には含まれない不純物混入や温暖化係数の高いカバーガス(SF6など)が用いられており、環境負荷が高いことが課題となっていた。

一方で、マグネシウムの新地金を製造するには、アルミニウムと同様に多くのCO2が発生する。また、新地金の95%は中国からの輸入に頼っており、2021年の9~10月にかけて中国における輸出規制により、マグネシウム地金の価格が一時的に約7倍まで高騰するなど、マグネシウム資源を安定的に国内に供給する体制の構築が求められており、国内での再生材を循環させる必要性も高まっている。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2024年7月19日 出典

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