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東京海上グループとイノカ、藻場の再生拡大に向け共同研究

ウミショウブの群生(出所:PIXTA)

ウミショウブの群生(出所:PIXTA)

東京海上アセットマネジメント(TMAM/東京都千代田区)、東京海上ディーアール(TdR/同・千代田区)、イノカ(同・文京区)の3社は10月18日、生物多様性の保全や二酸化炭素の吸収で脱炭素を推進する藻場の再生に向けた同研究を開始すると発表した。

第一弾として、沖縄県石垣市野底エリアにおいて、従来から自然保全活動を推進しているエコツアーふくみみ(沖縄県石垣市)および石垣市立野底小学校と協力し、石垣市野底エリアにおけるウミショウブの藻場の再生と研究を進めていく。

3社はまず、イノカの環境移送技術(天然海水を使わず、自社で開発したIoTデバイスを用いて、水質や微生物などを含む任意の生態系を水槽内に再現する独自技術)を用いて、ウミショウブを陸上で育成することで、ウミショウブの生態や最適な藻場再生のための研究を行う。その後実際の海への移植、モニタリングを実施し、その成果を陸上での育成にフィードバックすることで、より効果的な藻場再生の研究を行う。

イノカは今回の研究を通じて、海藻・海草の陸上研究から実際のフィールドへの適用ノウハウを獲得でき、今後全国各地の海における海藻・海草を活用した生物多様性保全や再生へと応用することが可能となる。

また、TMAMとイノカは藻場の生物多様性保全や二酸化炭素の吸収量の計測などを実施し、現地のモニタリングをベースにブルーカーボンや、近年注目を集める生物多様性クレジットの生成を目指す。

一方、TdRは地元協力者と連携し、今回の活動エリアを環境省が推進する自然共生サイトとして登録することを目指す。登録されれば環境省を通じて国際データベースに登録され、COP15のグローバルターゲット(昆明・モントリオール2030年目標)に貢献することとなる。

美しい豊かな海を守るため日本が取り組むべき課題

2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年グローバルターゲットが設定された。日本では2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、生物多様性保全に向けた国家目標が掲げられている。事業会社に関しても、2023年9月に企業の生物多様性における開示フレームワークであるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の最終版が公表されるなど、自然や生態系の保護・保全と回復に向けた生物多様性への対応が急速に求められる状況になっている。

海洋国家の日本では、藻場は温室効果ガス吸収による脱炭素や、海苔や昆布など日本の伝統食材の収穫においても、沿岸漁業の対象魚種の40%近くが藻場・干潟に生息するため生物多様性の観点においても、非常に重要な存在だ。

石垣市野底崎の南側、多良間の浜から吹通川の河口周辺は、日本における海草ウミショウブの生息地の北限地としてウミショウブの群落が広がり、夏の開花時期には白い雄花が海面を埋め尽くす美しい光景が見られる貴重なエリアだった。しかし、近年では南西諸島を含む熱帯・亜熱帯の海に生息する絶滅危惧種のアオウミガメが増加し、希少な海草の食害を引き起こすなど新たな問題が発生しており、ウミショウブの群生地が消滅の危機に瀕している。

ウミショウブの雄花(出所:PIXTA)

ウミショウブの雄花(出所:PIXTA)

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2023年10月24日 出典

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