環境ビジネスと全ビジネスの業況DIの比較
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環境省は8月24日、国内企業を対象に半年ごとに実施している環境ビジネスの景況感に関する調査「環境経済観測調査(環境短観)」について、2018年6月調査の結果を取りまとめ確定値を公表した。これによると、環境ビジネスの業況は好調さを維持している結果となった。特に「地球温暖化対策」分野の業況が高く全体を牽引している状況が続いている。
また、10年先の発展が見込まれる環境ビジネスは「再生可能エネルギー」(風力発電、水力発電等。別途項目を設けている太陽光発電システムを除く。以下同)。今後実施したいと考えている環境ビジネスも「再生可能エネルギー」と回答する割合が最も高かった。
この環境経済観測調査(環境短観)は、2010年12月から半年ごとに行っているもの。ビジネスの業況などは、「DI(ディフュージョン・インデックス)」という、「良い」と回答した割合と「悪い」と回答した割合の差(単位:%ポイント)で示されている。
調査結果のポイントは以下のとおり。
環境ビジネスの業況DIは「25」と好調さを維持
環境ビジネスを実施している企業から見た自社の環境ビジネスの現在(2018年6月)の業況DIは「25」となり、2017年12月調査(以下、前回調査)の業況DI「21」より上昇した。また、速報値で公表した業況DI「24」とほぼ同様の結果となった。
環境ビジネスの4分野(「環境汚染防止」、「地球温暖化対策」、「廃棄物処理・資源有効利用」、「自然環境保全」)の中では、特に地球温暖化対策分野の業況DIが「31」となり、全体を牽引している。全ビジネスの業況DIは「24」であり、2016年6月以降上昇傾向が続いている。
また、先行きについては、環境ビジネスの業況は直近では好調さを維持するものの10年先は低下する見通しである(半年先のDI「26」、10年先のDI「21」)。分野別では、特に地球温暖化対策分野の業況DIが「31」となり、全体を牽引した。
「自社」ではなく「日本」の環境ビジネスは10年先も好調
日本の環境ビジネスの業況
全企業(環境ビジネスを実施していない企業も含む)から見た日本の環境ビジネス全体の業況について、現在、半年先、10年先の各時点において、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の選択肢から回答を求めたところ、DIはすべてプラスとなり、日本の環境ビジネスの業況は、「良い」と回答した企業の割合が「悪い」と回答した企業の割合を上回った。特に企業規模が大きいほどその傾向が強まった。なお、現在のDIは、「27」であった。
日本で発展していると考える環境ビジネスとして、現在と半年先の時点で「省エネルギー自動車」(26.3%と28.8%)と回答する割合が最も高かった。10年先においては「再生可能エネルギー」(24.7%)と回答する割合が最も高かった。
地球温暖化対策分野と環境汚染防止分野の環境ビジネスが全時点で上位5ビジネスを占めている。特に、地球温暖化対策分野の「省エネルギー自動車」と「再生可能エネルギー」は、全時点で上位3ビジネスにあげられている。
現在発展しているのは「エコカー」、10年先は「再エネ」
日本の環境ビジネスのうち、現在発展していると考えるビジネスについて回答を求めたところ、「省エネルギー自動車」と回答する割合が最も高くなった。今後(半年先、10年先)発展が見込まれると考えるビジネスについては、半年先は「省エネルギー自動車」、10年先は「再生可能エネルギー」(風力発電、水力発電等。別途項目を設けている太陽光発電システムを除く。以下同じ)と回答する割合が最も高くなった。
今後実施したいと考えているのは「再エネ」
今後実施したいと考えている環境ビジネスについて回答を求めたところ、「再生可能エネルギー」と回答する割合が最も高くなった(20.6%)。続いて、「その他の地球温暖化対策ビジネス」(13.3%)、「省エネルギーコンサルティング等」(10.7%)、「省エネルギー自動車」(9.3%)、「省エネルギー建築」(9.0%)の順となった。
「再生可能エネルギー」の回答割合は、2011年6月調査以降、業種・企業規模を問わず最も高くなっていたが、今回の調査では、製造業において「省エネルギー自動車」(14.4%)と回答する割合が最も高くなるなど、順位に変動が見られた。
また、今後実施したいと考えている環境ビジネスの実施予定地として最も多かったのが「関東」で129件、続いて「中部」(53件)、「近畿」(41件)、「東北」(34件)、「中四国」(22件)となった(順位は「その他・不明分」を除く)。
環境ビジネス振興策の企画・立案等の資料に活用
この環境短観では、産業全体における環境ビジネスに対する認識や取り組み状況について構造的な調査を継続的に実施している。また、この調査結果は環境ビジネス振興策の企画・立案等の基礎資料として活用してもらうこと。同時に、調査結果を公表して環境ビジネスの市場の認知度向上を図ることにより、環境ビジネスの発展に資することを目的としている。
2018年6月調査の調査期間は、2018年6月1日~7月6日。調査対象は、全国の資本金2000万円以上の民間企業のうち、資本金、業種別の層化無作為抽出法により選定された11,428社。有効回答数4,699社、有効回答率41.1%。
【参考】